そこで、潜在看護師経験のある僕が運営するサイト【潜在看護師の復職応援団】から正しい情報を知っていただきたく、4月号のテーマとしました。
【よしニュース】4月号では、潜在看護師についてのまとめ記事として「潜在看護師の実情と新型コロナウイルス」についてお伝えします。
この記事を書いている「よし」は、18年目の看護師です。潜在看護師で悩んだ経験、不安だった時期に「こんなサイトがあったらよかったのにな」という思いからこのサイトを立ち上げました。
もう少しくわしい私のプロフィールはこちらへ。
私は個人的に復職を目指す潜在看護師さんの応援をしていますが、決して復職を押し進めているわけではありません。
ナイチンゲールは「その人自身の家庭」における看護の実現を看護の最終目標に想定していました。
マザーテレサは「家に帰って家族を愛してあげてください」と言い残しています。
私も『看護は地域や家庭にこそあるもの』と考えています。
ですので、潜在看護師さんで専業主婦の方、子育てを経験している方…ほんとにみなさん素晴らしい看護師さんなんだと思っています。
そんな素晴らしい潜在看護師さんがあらためて、医療機関に復職・貢献しようと考えている、そんな方の応援ができればとの想いで【潜在看護師の復職応援団】を運営しています。
看護師の情報サイトはいろいろありますが、当サイトは「潜在看護師」を追及しています。
【潜在看護師の復職応援団】は、
いま潜在看護師として悩みを持っている方
現在看護師として働いているが将来に不安をもっている方
に向けてのサイトです。
私自身が潜在看護師の頃に知っておきたかった客観的な情報は、他の誰かも知りたい情報であるはず。
また潜在看護師を経験したことのある看護師のコラムも、私だけじゃなく他の誰かも読んで見たいと思っているはず。
「こんなサイト探してた!」という潜在看護師・看護師、過去の自分にむけて構築しています。
私と同じように疲弊している潜在看護師の方にとって、このサイトには、潜在看護師さんが知りたい情報が集約されている。
そう思っていただけるようなサイトを目指しています。
では【4月号】をご覧ください。
そもそも潜在看護師って?

看護の資格を持ちながら看護職として就業していない人々を指す呼称として「潜在看護師」という用語が使用されています。
日本看護協会でも、この「潜在看護」という言葉がいつから使用され始めたのかは明らかではないと述べています。
つまり、潜在看護師という用語の定義はなく、看護職として就業していない人々を指す呼称として「潜在」という用語が一般に使用されているだけなんです。
私自身、潜在看護師として過ごしていた時期がありました。
焦りと不安、なにかに追われているような切迫感のような気持ちで過ごしていました。
その時の素朴な疑問として、「僕は世間的には潜在看護師って呼ばれてるけど、そもそも潜在看護師って表現に疎外感のようなものを感じるのであまり好きではないんだけどな・・・」と考えていました。
いま潜在看護師として私と同じような不安や焦りを感じている方は安心してください。
あなたは看護協会さえも「〜と思われる」としか言えない潜在看護師ではなく、苦しい看護実習や学びを乗り越え、看護師国家試験を合格した、かけがえのない【看護師】です!
正しい情報を知ってもらえれば幸いです。
潜在看護師の背景や現状をデータを用いて解説した記事はコチラ

潜在看護師の人数は?この先どうなるの?
まずは実際に潜在看護師の人数ってどれくらいいるのかを知っておきましょう!
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では結論をお伝えしますね。
【潜在看護師の人数が増え続けると、患者の安全性は弱まります】
近々の問題ですと2025年問題と看護師不足についての問題がありますね。
詳しくは2025年問題・・・看護師不足の深刻化を救えるのは?をご覧ください。

潜在看護師が増え続け、看護師の不足が続くと臨床では何が起こるのでしょうか?
厚生労働省は
「病床あたりの看護師数が多いほど、患者の安全性は高い」
という結果を報告しています。
具体的には患者4人に対して看護師1人(4対1)の場合の患者死亡率を100%とした場合、
5対1の看護では107%
6対1の看護では114%
7対1の看護では123%
にまで増加することがわかっています。
この結果より、看護師の人数が減ることで患者の安全性は弱まることがわかります。
潜在看護師の人数が増え就業看護師の人数が少なくなれば、患者1人ひとりの安全が確保できず、きめ細かな看護の提供が難しくなります。
潜在看護師の人数に関するくわしい記事はコチラ

潜在看護師の離職理由【新型コロナと2025年問題へ】
先日私は下記のツイートをしました。
看護師の退職理由が結婚・出産・子育て・親の介護など、目に見えやすいライフステージの変化ばかり見てはいけないよ。
退職理由全体を眺めると、ほぼ【職場や人間関係に対する不満】やからね。
ここがフォーカスされないと『2025年問題』は抜本的に改革されないよ。 pic.twitter.com/SUppTmUDTw— よし@潜在看護師の復職応援団 (@senzaikangoshi) October 22, 2019
次に、直近の就業先を離職した理由の多い順に一部ご紹介します。
離職経験のある看護師さん、潜在看護師さん、どれかに当てはまるんじゃないでしょうか。
退職理由 | |
1 | 妊娠・出産 |
2 | 心身の健康状態(身体的理由) |
3 | 子育て |
4 | 時間外労働(残業)が多い |
5 | 医療事故への不安 |
6 | 親族の健康状態・介護 |
7 | 責任の重さ |
8 | 適性・能力への不安 |
9 | 職場でのいじめ・嫌がらせ |
10 | 同僚との人間関係 |
11 | 家事との両立困難 |
12 | 転居 |
13 | 施設の理念・方針に不満 |
14 | 上司との人間関係 |
15 | パワーハラスメント |
都道府県ナースセンターによる看護職の再就業実態調査(平成24年11月15日から12月10日)をもとに作成
次にライフステージ以外の退職理由をよ〜〜く眺めてください。
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まとめると、ほぼ【職場や人間関係に対する不満】といえます。
こうやって有能な看護師がまた1人辞めていくんですよね。
1人辞めるごとに職場の看護師の多くが、以下のような状態に陥りやすくなります。
1人あたりの業務量が増える
患者のケア、新人教育、大量の雑務の担い手不足
シフトに余裕がなくなる
不平や不満が蓄積されてくる
人間関係が悪化してくる
看護師は常に心身疲弊した状態へ
事故への不安を抱えながら仕事をし続ける
大きな心身のストレスにつながる
つまり、【職場や人間関係に対する不満】が看護師の離職の引き金になり、潜在看護師の増加につながる実情があるんです。
引く手あまたであるはずの潜在看護師と新卒看護師の、再就業から1年以内の早期離職率を比較したデータによると、
潜在看護師の再就業からの離職率(11.8%)
新卒看護師の離職率(5.5%)
なんと2倍もの差があるんですよね。
ここから見えてくる課題として、
即戦力として期待されている潜在看護師
即戦力どころか基礎的な看護技術や知識に自信がもてない潜在看護師
という乖離が復職に踏み切れない潜在看護師の中心的な原因の1つだと考えています。
2025年には約196〜206万人の看護師が必要と推測されています。
具体的な根拠はこちらです。
2025年には
「団塊の世代」が75歳以上になること
国民の3人に1人が65歳以上
5人に1人ほどが75歳以上
になります。
必然的に看護が必要な人口が急速に増え、医療の提供を必要とする場面が多くなります。
2025年に必要な看護師数は200万人以上という計算になります。
平成28年末(2016年)の総就業者数は約166万人であり、2025年問題を考えると需給ギャップは埋まりません。
反面、看護師不足を解消するには看護師の人数を増やす必要があります。
しかし新規資格者がグッと増えることは現状では考えられません。
なぜなら看護学校や看護学部を一気に増やすようなことは容易ではなく、安易に増やしたとしてもプロの看護師を養成することは難しいからです。

出典元:看護師等学校養成所入学状況及び卒業生就業状況調査(平成29年9月現在)
これらの理由より、日本の看護師不足はさらに深刻になる恐れがあります。
今後の『2025年問題』にむけて看護職員を着実に確保するためには、潜在看護師の復職支援が不可欠になります。
しかし日本看護協会はこの問題に対し、表面的な支援対策はアピールするものの、潜在看護師の離職理由となる『核』の部分からは目を背け続けたままです。
これでは潜在看護師の復職が進むはずがありません。
潜在看護師が復職しないリアルな理由の1つは「復職しない」のではなく、「不安や恐怖で復職できない」のです。
そして令和2年4月・・・
新型コロナウイルスに対する看護師不足の対策として、日本看護協会の福井トシ子会長は、潜在看護師の復職をマスコミ通して懇願し始めました。
今まで「ほったらかし」にしていたことも、復職することへの補償も、なにひとつないまま、ただ「復帰してください(してほしい)」と。
潜在看護師の離職理由に関するくわしい記事はコチラ

初めてコメントさせていただきます。
記事を拝読し、思わずコメントを。
私も潜在看護師のひとりです。
病棟経験がなく、主に外来病院にいました。
最終職歴は健診業務で、3年前のことです。
昨年末、ナースセンターにて復職相談をしたところ、『間が空いているので難しいですね』とのことでした。
資格や志があっても無駄なんだと思いました。
今、このような世間の事態に、心が揺さぶられます。
力になりたい。
しかしながら、『難しい』と言われた私に何が出来るのでしょう。
郁枝さま。
コメントありがとうございます。
伝えにくいことを、コメントくださったお気持ちを大切にさせていただきたいと思います。
3年ほど前には健診業務で看護されていたんですね。
また、ナースセンターへの復職相談までされた経験もあるとのこと。
それだけでも、プロの看護師さんとしての思いが伝わってきます。
ナースセンターで言われた言葉は全く忘れてもらって大丈夫です!
例えるなら、採血ミスした看護師が患者さんに謝罪することなく、「あなたの血管が細いから私の採血が失敗した」と言っているナースに等しいことを、郁枝さまにむけて言っているに等しいからです。
今日で、忘れましょう!!!
僕が偉そうに言えることではありませんが、世間の現状に心が揺さぶられてる時点で、郁枝さまは看護師であり看護に携わっていることになります。
なぜなら新聞にも載せましたが、マザーやナイチンゲールの思いと郁枝さまの気持ちはつながっていると考えるからです。
それでもなお、現場で貢献したいとの思いが強くなれば、健診業務はもちろん、どんな看護の現場でも努力は必要ですが絶対にどこでも働くことはできます!
これは郁枝さまの気持ちを案じてお世辞で言っているわけではありません。
お世辞で言って、患者さんに悪影響を及ぼしてはいけませんからね。
ですので、客観的な思いで「始めることに遅すぎるとかはなくって、どこでも看護師として働くことはできる」と、僕自身の経験もふまえてお伝えしています。
僕も郁枝さまも、プロの看護師ですからね。
そのうえでまずは、最も身近な人たち(ご自身含む)のためにできることは何かを考え行動してみることも推奨いたします。
例えば「手作りの布製のマスクを作る」なども大きな1つの貢献ではないかと考えます。
また迷ったり悩むことがありましたら、解決できるとは言い切れませんが、いつでもお話は全力でお聴きいたしますので、遠慮なくいつでもご連絡くださいね。
では看護師仲間として、今後も末永くよろしくお願いいたします!