こんにちは、看護師のよしと申します。
この記事は、「潜在看護師って聞いたことあるし、なんなら私も潜在看護師だよ!」という方に向けて書いています。
まずは厚生労働省のデータをご覧ください。
- 就業保健師数: 51,280人(男性:1,137人、 女性:50,143人)で増加傾向
- 就業看護師数:1,149,397人(男性: 84,193人、女性:1,065,204人)で増加傾向
- 就業准看護師数:323,111人(男性:22,140人、女性:300,971人)で減少傾向
参考:平成 28 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
2019年2月17日に行われた第108回看護師国家試験の合格者数は5万6,767人で(合格率89.3%)でした。
厚生労働省のデータを見ると、看護師の人数は右肩上がりになっているのがわかります。
ではなぜ慢性的に看護師の人数が不足していると言われているのでしょうか?
その理由は増え続ける看護師有資格者数の影で、臨床の現場を離れている潜在看護師数も増加し続けているからです。
ウソのようで本当の人数なんですよね。
この記事では
そもそも潜在看護師とは?
潜在看護師の現状ってどういったものなんだろう?
なんで潜在看護師が増え続けているの?
に分けて情報をお伝えします。
潜在看護師とは?
私自身、潜在看護師として離職期間を過ごした時期がありました。
焦りと不安、なにかに追われているような切迫感のような気持ちで過ごしていました。
素朴な疑問として、「僕は世間的には潜在看護師って呼ばれてるけど、そもそも潜在看護師って表現に疎外感のようなものを感じるのであまり好きではないんだけど・・・」と考えていました。
私たち看護師の総本山?である会員数73万人を誇る「公益財団法人日本看護協会(以下、日本看護協会)」では、潜在看護師について下記のように述べています。
看護の資格を持ちながら看護職として就業していない人々を指す呼称として「潜在看護師」、「潜在看護有資格者」などの用語が使用されているが、この「潜在看護」という言葉がいつから使用され始めたのかは明らかではない。しかし、公的な文書、たとえば法的レベルでは1992年12月25日に当時の文部省、厚生省、労働省の連盟で告示された「看護婦共同利用保育施設整備費補助金の実施要要網について」の中で「潜在看護力」という用語がすでに使用されていたことを考慮すると、かなり以前から看護の免許を持ちながら、看護職として就業していない人々を指す呼称として「潜在」という用語が一般に使用されていたと思われる。
とのことです。
・・・・・・・・・・・
- 「なーんだ、天下の日本看護協会さんでもよくわかってないんだ」
- 「潜在看護師って特に定義されてるわけじゃないんだ」
潜在看護師という用語について知るだけでも、ほんの少し気持ちが楽になりました。
この記事を読まれている潜在看護師の方で、もしも私と似たような不安や焦りみたいな感情をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。
潜在看護師という漠然とした表現に不安を感じているのならご安心ください。
あなたは看護協会さえも「〜と思われる」としか言えない潜在看護師ではなく、苦しい看護実習や学びを乗り越え、看護師国家試験を合格した、かけがえのない【看護師】です!
潜在看護師の現状
前述のとおり、看護師の人数は右肩上がりなのに慢性的な看護師不足が叫ばれ続けているのはなぜでしょうか?
答えは看護師の離職率にあります。日本看護協会が行った「 2017年 病院看護実態調査 」によると、
正規雇用の看護師:10.9%
新卒看護師 :7.6%
が離職しています。
他の職業と比べても離職率が高いというわけではありませんが、看護職としての需要と供給が追いついていません。
需要と供給が追いついていない中での離職率が、看護師不足に追い討ちをかける要因となっています。
就業看護師への負担が増える
看護師不足によって必然的に1人の看護師にかかる負担が増えます。
私の働いている病院(二次救急、急性期総合病院)も同様です。
私の働いている病院の実際をご覧ください。
常に重症度の高い患者の看護をします
1人が受け持つ患者の人数も多いが、人数だけでなく重症度も高いので必然的に看護必要度が高くなります
1人の看護師が受け持つ人数、看護必要度により心身ともに疲弊しやすい状況にあります
夜勤や雑務・看護研究などによって、ライフサイクルが崩壊しやすい状況にあります
さらに追い討ちをかけるように人間関係にともなう精神面の疲弊が加わります
常にインシデントやアクシデントなどの医療ミス・医療事故への不安を抱えながら仕事をし続けることになります
その結果、大きなストレスを蓄積しながら看護し続けることになります。
数値では現れにくい1人ひとりの看護師が抱えるストレスが、離職の引き金になっているのが現状です。
このストレスの増大は、当院だけでなく日本中の病院・看護師に共通するものだと考えます。
潜在看護師が増え続ける背景
潜在看護師が増える理由には、「離職率の高さ」と「復職の難しさ」があります。
「 看護職員の現状と推移(資料:平成26年12月1日) 」によると、離職による「潜在化」した看護師が約16.1万人に対して再就業して「顕在化」した看護師は約14万人にとどまっています。
この積み重ねが潜在看護師が増え続ける背景であり、看護師不足の要因でもあります。
看護職の推移(平成24年)
潜在看護師の活用と『2025年問題』
2025年には約196〜206万人の看護師が必要と推測されています。
具体的な根拠はこちらです。
2025年には
「団塊の世代」が75歳以上になること
国民の3人に1人が65歳以上
5人に1人ほどが75歳以上
になります。
必然的に看護が必要な人口が急速に増え、医療の提供を必要とする場面が多くなります。
2025年に必要な看護師数は200万人以上という計算になります。
前述のとおり平成28年末(2016年)総就業者数は約166万人であり、2025年問題を考えると需給ギャップは埋まりません。
反面、看護師不足を解消するには看護師の人数を増やす必要があります。
しかし新規資格者がグッと増えることは現状では考えられません。
なぜなら看護学校や看護学部を一気に増やすようなことは容易ではなく、安易に増やしたとしてもプロの看護師を養成することは難しいからです。
これらの理由より、日本の看護師不足はさらに深刻になる恐れがあります。
今後の『2025年問題』にむけて看護職員を着実に確保するためには、潜在看護師の復職支援が不可欠になります。
まとめ
そもそも潜在看護師とは?
潜在看護師の現状ってどういったものなんだろう?
なんで潜在看護師が増え続けているの?
について解説しました。
具体的には、
約71万人もいます
潜在看護師の人数はなんと、51,280人で増加傾向 就業保健師数:
1,149,397人で増加傾向 就業看護師数:
323,111人で減少傾向 就業准看護師数:
潜在看護師という用語は日本看護協会でもきちんと定義はされていないこと
潜在看護師の離職率
潜在看護師の離職理由
離職理由の1・2位は出産・育児、結婚だが、3位以下の離職理由をまとめると【職場や人間関係に対する不満】が離職理由だといえる
【職場や人間関係に対する不満】は、現職者も同様にあると推測される(文献&よし自身&よしの職場でも「職場や人間関係に対する不満」が日常にあふれている)
私の働いている病院(二次救急、急性期総合病院)の実際
潜在看護師が増え続ける背景
潜在看護師の活用と『2025年問題』
今後の『2025年問題』にむけて看護職員を着実に確保するためには、潜在看護師の復職支援が不可欠になること
私自身が潜在看護師として苦しんでいた時に、「こんな情報あればあればいな」と思うことがたくさんありました。
この記事では私だけではなく、他の誰かも必ず欲しがっているであろう情報として【潜在看護師とは?】について解説しました。
このサイトでは、潜在看護師として現在いろんなことで悩んでいる方にむけて、その悩みを少しでも軽くしてもらえたら、という思いで運営しています。
あまり周りに言えない、伝えにくい、などのお悩みがありましたら遠慮なくコメントやお問い合わせよりご連絡ください。
個人情報に留意しながら一緒にお悩み軽減・解決にむけて話し合えればいいなと思います。
子育て相談ドットコム
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はじめまして、看護師のよしと申します。元サッカー選手から水商売を経て、現在は17年目のナースマンやってます。子育て相談ドットコム( https://t.co/S0pywzKtDr )にも看護師として登録中。医師・看護師・保育士など各分野の専門家が無料でお悩み相談に回答しています。ぜひご活用くださいね😄
— よし@潜在看護師の復職応援団 (@senzaikangoshi) October 19, 2019
関連ページ:潜在看護師という用語の定義や正確な情報まとめ